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【体験談】社会人が働きながら通勤時間と週末だけで米国公認会計士(USCPA)に合格した方法

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米国公認会計士は、米国において最難関の試験と言われ、高い権威を持っています。憧れる人も多い一方で、これから目指す方や勉強中の方は「何を、どのように勉強すれば合格できるのだろうか」と不安を抱えていたり、悩んでいませんか?

実は、米国公認会計士の資格は、「正しい方向に向かって努力」さえすれば、どなたでも達成可能な目標だと考えます。

なぜなら、私自身が実際にサラリーマンとして働きながら、基本的に通勤時間と週末を活用して約1年間の勉強で合格出来たからです。

この記事では、私が実際に学習した方法や感じていたことを赤裸々に公開します。受験申請方法や試験概要については、受験対策予備校やモノの本で詳しく説明されているので、そちらに譲ります。

記事を読み終えると、実際の合格者が何を、どのように勉強していたか把握出来ます。従い、次に取るべき行動がよりクリアに見えて、合格に近づくことができるでしょう。

私のウェブサイトを訪れていただいたのも何かのご縁。幸運を祈ります!

 

<目次>

 

 

目指したきっかけ

私は、会社の初期配属で経理部に配属され、必要に駆られて目指すことになりました。会社に入るまでは、全く関係のない分野の専攻でしたので、自分で何とかして会計知識を身に付けて、キャッチアップしなくてはいけない状況でした。先輩からは、一から十まで教えては貰えませんので、自分でしっかりと学んで成長したいと思っていました。

会計の良く分かっていない経理部員と言うのは、ルールを分からずにプレーしているスポーツ選手のようなものです。何をやって良くて、何をやってはいけないのか分からないと、自分で考えてプレー出来ないと言う状況になってしまいます。

米国公認会計士の資格を目指せば、広範な知識を体系的に身に付けることができます。また、試験という名目で自分にプレッシャーをかければ、頭の中に会計関連の目次を作るという作業が効率的・効果的に出来ると考えたので、この資格にチャレンジすることにしました。

私の前提知識

大学では、全く関係のない文系学部(政治系)でした。しかしながら、金融機関への就職活動をしていたこともあり、簿記2級までは大学時代に取得完了していました。

また、英語力については、高校で1年、大学で1年の交換留学をしておりましたのでTOEICは満点でした。また、英語検定1級も取得していましたので、米国公認会計士試験において英語がネックになるという状況ではありませんでした。

勉強開始は、経理部である程度経験を積んでからスタートしましたので、伝票作成を実際に経験したこともありますし、連結ベースでの決算を行ったこともあります。細かい会計関連知識については有していませんでしたが、何をやらなくてはいけないのかと言う全体のプロセスについては、ある程度手触り感を持ってイメージが出来ていました。また、監査法人とのコミュニケーション(会計処理に関わる質問状対応や四半期毎の面談)も行っていましたので、全くゼロからのスタートと言うよりは、ある程度受験の下地が整っている状況だったとも言えます。 

受験対策予備校には通うべきか?

基本的には、受験対策予備校に通ってしまった方が効率が絶対にいいと思います。

多少お金が掛かりますけれども、時間を買っていると考えれば無駄ではありません。教材を上手く纏めてくれていたり、受験手続きについても相談に乗って頂けます。一人では心が折れそうな時にも、学校に通っていれば続けられます。予備校にお金を払ってしまうと、「コミットしないといけない!」という気持ちにもなります。ある意味、自分を追い込む材料にもなるのです。

私は、当時1番安くて、バイリンガルの佐々木先生(キャラクターが強烈)が記憶に残りそうだし、楽しそうだなぁと考えプロアクティブに通いました。そして、結果的に大正解でした。プロアクティブでは、問題解説動画(長くても1問1分程度)をウェブ配信していたり、佐々木先生の強烈で面白い講義が頭に自然と叩き込まれます。合格後には、ライセンス取得の手続きもお手伝い頂けます(別途料金)。教育訓練給付制度の対象でもあり、リーズナブルに学習させて頂きました。

どこの予備校も大抵無料体験や説明会を実施しているので、一度足を運び、ご自身に合った予備校を選ぶのが一番良いと思います。

独学でも合格出来ないことはないと思いますが、時間を買うと思って通った方が賢明だと私は感じます。

www.uogjp.com

合格までの学習期間

ダラダラと取組むと中途半端になりそうな気がしておりましたので、「集中して1年間と言う期限を区切ってやり切ってしまおう!」と言う覚悟で取組みました。

実は、一度片手間でやろうと思って、ダラダラと数週間やったのですが、だれてしまって仕事も忙しくなり、1年ほど休憩期間がありました。

2013年2月頃に仕事の谷間が訪れたので、このタイミングを捉えて一気にやろうと思い、そこからは1年間と言う期限を切って臨みました。実際、2013年2月に本格的にスタートして2014年2月に全科目合格を達成しました

経験的にはやはり1年くらいと言うデッドラインを決めてやらないと、勢いに乗って合格することが難しいかもしれません。

米国公認会計士の試験は単位の認定等、受験資格を満たし、受験するまでの準備プロセスに結構時間がかかります。一科目合格したら、もう半分終わったようなものです。また、一つ合格するとかなり勢いがつきますので、まずは早く受験して一科目合格するところまでを気合いで進めましょう。試験日を決めてしまうとプレッシャーにより否が応でも勉強の効率が上がりますし、「模擬試験のつもりで受けたら出題がラッキーで受かってしまった」なんてこともあります。

筋トレと同じで、継続していれば、ある日勉強しないと気持ち悪いと言う状況になります。そこまで自分を追い込めたら、もうかなり合格が見えていると言っていいと思います。

学習の時間

私は、平日夜は付合いの飲み会が多いチームでしたので、通勤時間と休日に勝負をかけることにしました。

土日は両日ともに平均8時間は勉強したと思います。レッドブルとキューピーコーワゴールドを飲みながら、自分を追い込みました。

平日は、通勤時間(片道20分程度)を活用して、立ちながら本の読み込みに勤しみました。英治出版、ANJOインターナショナル著の「通勤時間を使って公認会計士になれる本」シリーズです。新しいことを学ぶのではなく、土日に勉強した箇所の復習がメインです。全体を広く浅くですが、毎日少しでも勉強するこの行動は、かなり記憶力の定着に役立ったと考えています。

また、ゴールデンウィーク等の長期休暇については、全て勉強に注ぎ込みました。受験日の1ヶ月前位からは、朝1時間早く起きて問題集を解くようにしていました。また、受験日の前日は、必ず有給休暇を取るようにし、万全の体力を整えました。米国公認会計士の試験時間はとにかく長いので、体調を整えるのは立派な受験準備です。

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受験の準備

米国公認会計士の試験は、受験要件を満たすまでに早くとも2〜3ヶ月の時間がかかります。

そもそも、アメリカの大学を卒業していない方については、学力基準を満たすと言うことを証明するために、申請手続きが必要となってしまいます。また、一定の会計関連単位を取得している必要があります(受験予備校経由で取得することが出来ます)。詳しくここで述べることはしませんが、早め早めに書類作業を完了させてしまって、受験日を決めるところまで進める方が良いでしょう。

受験日が決まると、自分のお尻に火をつけてモチベーションを高めることができます。私は、受験申請手続きを面倒がってしまい、結果的になかなか受験をすることが出来ませんでした。私は、2月に勉強を開始して、初受験は7月になってしまいました。勉強を進めることも大事なのですが、何よりもまず、受験の申請手続きを早めに完了させてしまうことをお勧めします。

詳しくは、以下の本がとても参考になりました。また、予備校に通えば親切にプロセスを指導してもらえることでしょう。私は、バイリンガルの佐々木先生(キャラクターが強烈)で有名なプロアクティブという予備校に通うことにしました。事務局の方々も丁寧で好印象でした。

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問題集を解きまくる!

資格試験を突破するにあたっては、何を差し置いても、やはり問題を解いて解いて解きまくると言うことが大事だと思います。

私が利用したのはBISKという分厚い問題集です。週間ジャンプくらいの分厚さがあり、最初は面食らうことでしょう。これを全て頭からやろうとすると心が折れるでしょう。

私が有効だった学習方法としましては、偶数問題乃至は奇数問題だけを解いていくスタイルです。半分なら、なんとかなります。それでも、1つのチャプターを完了させるのに1日かかってしまう代物です。

途中で効率的だと気付いた方法は、問題解説からスタートすることです。プロアクティブでは、動画で問題解説をしており、これをまず頭に叩き込みます。一度解説を受けた問題であれば、何となく頭に残っており、問題集をさっと解くことが出来るのでオススメです。試験前までに、何度も何度も問題解説動画を見て、解法パターンを覚えてしまうことです。プロアクティブの問題解説ウェブサイトは、かなり秀逸だったと個人的には思っています。

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日本語の教科書を使う!

TOEIC満点の私ですら、日本語の教科書で勉強した方が圧倒的に効率が良かったと感じています。

まずは、受験対策予備校で授業を受けるのも大事ですが、受け身で聞いているだけでは身に付いていない部分も出てくると思います。私がレコメンドするのは、以下に紹介する日本語の教科書です。斜め読みでもいいので、能動的に、全体像を頭に叩き込んでおくと理解がスムーズになると思っています。特に清文社出版、藤田則子さん著のAUD「新米国公認会計士試験 重点解説シリーズ」の本はかなり分かりやすく、これを一度読んでからBISKの問題を解いたところ、殆ど分からない問題がないというレベルにまでなりました。

また、会社の往復通勤時間を使って、英治出版、ANJOインターナショナル著の「通勤時間を使って公認会計士になれる本」シリーズをひたすら繰返し読みました。何度も何度も読み続け、ボロボロになった「会計編」の本は、最後には2つに分れてしまったほどです。

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直前対策をどうするか?

私はプロアクティブという予備校に通っておりましたが、直前対策だけはTACを活用しました。この直前対策は、自分にはかなりフィットしました。

プロアクティブがいい意味で大雑把な解説をしているのに対し、直前対策はやや細かくポイントを押さえたいと感じていましたので、ネットでも好評であったTACを選択しました。

DVDを2倍速で見て、よくテストに出るというポイントを改めて勉強することが出来ました。

TACは、プロアクティブと相互補完的な位置付けに感じます。TACはやや細かいメッシュまで丁寧に教えてくれるのですが、最初からこのメッシュで勉強していたら分量が多すぎて自分の頭ではメモリがパンクしてしまい、ちょっと辛かったかなと思いました。

絞られたポイントを細かく勉強すると言う意味では、とても効果的だったと感じています。

また、TACは米国のBeckerという有名予備校と提携しているようです。ここで紹介されていたBeckerの模擬試験問題3年分くらいはかなり役に立ちました。

ec.tac-school.co.jp

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受験の順番に戦略はあるか?

私の考える戦略的な受験順序は以下です。

REG→FAR(二科目同時並行勉強)→AUD(単科集中)→BEC(単科集中)

私はREGから受験を開始することにしました。FARとREGは相互補完的な位置付けにあると考え、同時に勉強を始めました。REGの方が分量が少なかったため、先に準備が整い、受験しました。REGは結果的に一度落ちてしまっています。ただ、二科目同時並行で勉強を進めていたので、2回目のREG受験時は楽だったと感じました。やはり本丸でボリュームも多いFARは前半戦で合格しておきたいと思います。その次に、AUDを受けました。FARを事前に学習しておいたことにより、AUDの考え方もスムーズに理解が進みました。最後にBECを受けました。BECは、分量が薄いので気合で何とかなるだろうと考えて最後にしました。

ポイントは順番がどうであれ、お金をケチらず何度も何度も受けるられる限り受験することです。模擬試験を受けるつもりで受験したら意外と受かっちゃったと言うこともあります。ちょっとお高い試験ではありますが、とりあえず受験しましょう。

私は、REGに一度落ちてしまったのですが、1度目のテスト内容と2度目のテスト内容はレベル感にあまりにもギャップがあったと感じています。1度目のテストではかなりマニアックな質問が出たと振り返っています。何度も受験して、自分の得意な問題セットに当たればラッキーです。

REGの所感

68点・・・2013年7月

84点・・・2013年11月

私はREGとFARが相互補完的であろうという考えに基づき、前半戦で勉強を進めることにしました。やはり、税務ということで覚えなくてはならない事は多かったと振り返ります。好き嫌いが分かれるかもしれません。私自身は、「将来独立した時にどのように税務申告しなくてはならないのか」と自分自身に置き換えながら学習することにより、楽しみながら勉強することができました。

細かいところから勉強していくと、覚えることが膨大すぎて心が折れてしまうので、大まかなポイントだけまずは覚えて、あとは問題集を解きながら徐々にルールを覚えて行くのが合格への近道だと思います。

FARの所感

87点・・・2013年8月

米国公認会計士試験の本丸とも言うべき、ボリュームが多い科目となります。とは言え、会計士を目指そうと思ったら、FARが出来ないと全く意味がありませんので、しっかりと勉強するべきの科目です。

日本語で会計を勉強したことのある人は、あまり概念の理解に苦労しないのではないかと思いますが、英語での会計の言い回しなどは慣れていないことも多いと思いますので、やはり時間がかかる科目ではあります。範囲が広いですが、基本的に浅いです。実務で使う会計知識というよりは、どんな論点があるのかをさらっと知ると言うイメージかと思います。

FARの勉強方法としては、ひたすら問題を解くと言うことでしょう。

政府会計やNPO会計など、普段あまり関与しないような分野も出題されます。ここは問題の出題方法にある程度パターンがありますので、しっかりと得点源にしておきましょう。

AUDの所感

84点・・・2013年10月

経理部などで外部の監査法人と関わりのある受験者はだいぶ有利な科目と思います。というのも、監査法人が何を考えて資料提出を求めてくるのか、理由を理解しながら勉強ができるからです。

コーポレート・ガバナンス等、会社のあり方についても個人的に興味がありましたので、AUDを学習する事はとても面白かったです。

オススメは先述の藤田氏の教科書をじっくり読み込むことです。もう会計のテストと言うよりは、英語のテストといった感じでスラスラと問題を解けるようになりました。ライティングも、内容が分かっていれば、しっかり書けるものです。結果的に、REG2回目の準備と並行して進めましたが、AUDの方が先に受かってしまいました。

この試験の最大の難関は、長時間テストに耐える体力でした。

BECの所感

79点・・・2014年2月

BECは、ビジネスパーソンであれば基本的に毎日のように新聞を読んでいるでしょうし、ビジネス書も読んでいると思いますので、あまり突飛な事は聞かれないと思っていいでしょう。ある意味、一般常識の範囲内プラスアルファです。よく出題されるところをしっかり授業などで把握しておけば、合格出来てしまうでしょう。

経済学については、大学時代に勉強していない受験生もいるかもしれませんので、予備校の授業や教科書でしっかりと対策をしておくと良いと思います。ただ、そこまで難しい込み入った質問はなく、広く浅くという質問が殆どですので、常識を駆使して回答すれば、正答率を高められると思います。

なお、良く言われている受験テクニックですが、4択試験の場合には、明らかに間違っている選択肢とちょっと考えれば間違いと分かる選択肢が入っています。この時点で半分までは絞ることが出来ます。確率論的には、もう50%まで来ています。この50%の確率を少しでも正答に近づけるべく、問題集を解いて「正答を嗅ぎ分ける力」を身に付けましょう。そうすれば、BECは結構短時間で合格出来ると思います。

受験場所は国内が便利!

私は、東京のテストセンターで全ての科目を受験しました。かつては、アメリカ(グアムやハワイが多かったようです)までフライトで渡航し、時差調整して受験したと聞きます。当然、お金もかかりますし、社会人は有給休暇を使って渡航をしていたようです。今は良き時代でありまして、日本にいながらにして受験をすることが出来てしまいます。ちょっとお高いですが、かつてアメリカまで渡航していた事を考えると大分リーズナブルなものです。会場は、コンピューターが個別ブースに何台も置いてあるテストセンターで受験することになります。耳栓も活用することが出来、集中して受験が出来ます。 

これから目指す方や勉強中の方へのアドバイス!

正直に申し上げますが、米国会計士に合格したからと言ってキャリアに何か劇的な変化が起きる事はないのではないかと思います。

世間で言われている程簡単な試験ではない一方、日本の公認会計士を目指して勉強している知人と比べると、勉強時間も圧倒的に短いですし、内容も浅いと言わざるを得ないと思います。ただし、受験準備も大変ですし、英語能力も必要なので、ある程度の時間がかかる事は事実です。

米国公認会計士の資格の威光に期待し過ぎると期待外れと言うこともあるのではと思いますが、一方で経理部や事業投資先のCFOといった業務に就いている方は、最低限有していないといけない資格だと感じます。ルールを知らずにプレーしているという状況を抜け出すためには、1年くらい腰を据えてしっかりと体系的に学習する必要があるでしょう。

米国公認会計士の資格を目標とすることによって、効率的に体系的な勉強が出来ます。そのような位置付けとして取組んでみるのは如何でしょうか。

海外の事業投資先に出向した際には、現地スタッフから「この日本人は何ができるのか」と言う目で見られます。世界的に知られている米国公認会計士の肩書を持ち、客観的な実力証明が出来ることは一つの武器になるでしょう。

 

如何でしたでしょうか。

少しでも皆様のご参考になれていれば、嬉しいです。

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